映画「少年たち」の感想とか解釈とか

映画「少年たち」公開おめでとうございます。初日にMステの楽曲披露をみたあとレイトショーで観ました。翌日2回みて、現時点で計3回みました。その3回で思ったこととか気づいたこととかの話をします。

 

映画「少年たち」、同名のジャニーズ舞台の映画化ですね。ジャニーズ舞台はミュージカルっていうとなんかちょっと違う気もするけど歌あり踊りあり人口密度高だからミュージカルになるのかな。
ここ数年はミュージカル自体がちょっと流行ってる感じなので、うまいことやればうまいこといくのかも…という8割期待2割不安な気持ちでみにいったけど、この作品、全然うまくやるつもりがなかった。そこがすごい。ジャニー喜多川87歳、怖いものなし。世間の評価とか一切興味ない。自分が美しいと思うものを信じぬいて映画作ってる。その結果痛々しい嗜好のオタク女が欲望のままにやりたい放題やってどう考えてもやりすぎでみてるこっちが恥ずかしい、みたいな作品になった。いや、悪くない…っていうか最高だよ!!!!87歳、逆に若いなーー!!!萌えの躍動を抑えられない欲張りオタクだなオイ~~~~!!理性がねえ!!!最高!!!!不幸な美少年が大好きなオタク全員集まれ!!!萌えの波動浴びにこい!!!!まぁとにかく理性がない分すごくピュアな作品なんですよ。媚びないというか……作り手がやりたいことをとことん追及した作品だった。いやほんと一番最後のカットをみてみんなで「???????????」ってなりにいこ。いや~~なんかよくわかんないけど"恐怖”感じました私は。最高。

あとはミュージカル作品の映画化っていうのが日本だとかなり珍しいから、まず試みとして面白いなぁ。日本産のミュージカル映画自体はいくつかみたことあるけど、ミュージカル作品をミュージカル映画として作った前例っていうのは私はみたことない。っていうか知らない。地味に国内ではかなり珍しいのでは?ミュージカル作品のミュージカル映画化。歌って踊れて演技できて映像映えする男の子たちを育成し続けてきたジャニーズ事務所だからこそできることですよね。今はそういう総合的に色々できる若手俳優もいっぱいいるので、これを皮切りにミュージカルの映画化が増えたら面白いのに~と思いながらみた。でももし他の会社が若俳や秋元系アイドル使ってミュージカル映画を撮っても、こういう変な映画はでてこないだろうな…。

あと建築オタク!建築オタクのみなさ~~ん!!建築オタクは楽しいと思う。重要文化財の奈良監獄が隅から隅まで見れる。いやこの映画ほんとすごい。本当にずっと奈良監獄で撮ってる。私奈良監獄の最後の観覧イベントにいってきたのですがそこでみれる場所は全部映ってた。外観だけ撮って中は別の場所で…ってこともよくあることだけど、この映画ほんとに全部奈良監獄でとってると思う(食堂のシーンはちょっとわからない)冒頭8分くらいに出演者の紹介MVが入るんですけど、それが長回しで撮られてるから奈良監獄の中を走り回ってるみたいで楽しい!ものすごくじっくり建物の構造をみられます。オススメ。

 

 

 

はい!ネタバレなしの感想終わり!以下ネタバレありっていうか気になったところの解釈とかの話をしているのでまだ少年たちみてないよ~!ネタバレ踏みたくないよ~!って方は読まないでください!あと私は舞台の少年たちの知識はほぼないに等しいので、そういう人の解釈なので!よろしく~!!

 

 

 

 

ラストシーンの横山さん


本編のラストシーン。ジュンの日記を読み終わった中林が意識を失い、日記からヒロムポエムがこぼれだす…というものなのですが、これ中林さんはジュンに呪い殺されてますよね。なんか霊的なものの存在を感じる演出があるんですよね。
ジュンが死んだ二年後、ジョー出所の日。ふとジュンが座っていたブランコに目をむけると風もないのにブランコが揺れていて、まるでジュンがそこにいるような演出がなされている。そして7年後、ホテルとしてリニューアルした奈良監獄に息子とともに訪れた中林。外をうろついてたらあの日死んでしまった少年がよく座っていたブランコが撤去されているのを発見する(いやもうオープンしてんだからちゃんと掃除しろ)ベンチに座ってぼーっとしてると息子が「お父さんの知り合いから」といってジュンの日記をもってくる。ホテルには元受刑者たちが大集合しているので、日記を渡したのはジョーかもしれないしエガオかもしれないけど、そのへんの描写はない。描写がないから、もしかしたらジュンの幽霊が渡したのかも…という想像もできる。ジュンの日記には仲間たちの似顔絵と説明がかかれていて、その筆致からジュンにとって少年院での生活は幸福なものだったことがわかる。似顔絵のあとのページには見開きで全員の集合絵が描かれていて、そのあとはずっと白紙…そのままページをめくっていくと最後にジュンの自画像がでてくる。え???????????怖くないですか???????????お前そんな力いれて自画像とか描くキャラだったか!?ジュン!???そんで中林さん、この絵をみた瞬間意識を失うんですね。ノートを落として、息子がどんなに揺すっても一切反応しない。え…………?????????怖いんですけど……???????あれ絶対ジュンくんの呪いだよ。自分が死んでしまったこともそうだけど、ジョーの脱獄を阻止して母親の死に目に合わせてやらなかったことへの恨みだよこれは……。
こういう終わり方をすると、なんかホラー映画の前日譚みたいだなーと思う。このまま続編作れるよね。ホテルで相次ぐ怪死事件!呪いのノートに描かれた少年は一体…!?っていうね。めっちゃみたいな。トラジャくんとかMADEくんとか宇宙くんとか今回の映画にでてない子たちでホラー映画撮ろうよ!

 

Never My Love

 

私この映画はフィナーレが一番好きでねーーーー!!!フィナーレってはいびくんがやってるホテルでのショーのシーンなんですけど、もうっTHE・ジャニーズエンターテイメント!ジャニーさんこれ好きだよね~~みたいなお馴染みのやつ。これを片田舎のホテルでやってる意味のわからなさすごい好き。しかも曲がネバマイ。相変わらず憑りつかれてるな~まぁ80超えたら変わらなくて当然だよな…。

はいびくんの幻想的な美しさに屈するのも楽しいですが、このシーンの肝はショーをみている客層なのかなと思う。やたら国際的なんですよね。といっても欧米の人しかいないんですけど。世界中の人が、ジャニーさんの作った美しい世界にときめいたり驚いたりじっとみつめたりしてる。中にはジャニヲタみたいな大人の女性もいるし、子供もたくさんいる。親に連れられてきた育ちのいいお嬢さんだけじゃなくて、やっすいTシャツを着たいかにも金もってなさそうな少年もショーを楽しんでいる。

なんかね、この客席含めた風景がね、ジャニーさんの夢なんだなって思って泣けちゃうんですよね~~~!!!以前ジャニ島をみにいったとき、対象年齢が低いなぁと思ったことを思い出す。話が陳腐だとかトンデモだとか、そこを批判しているわけじゃなくて。子供が楽しめるようなダイナミックさに溢れてたから、子供にみてほしいんだなぁって思ったの。でも客席には子供はいない。当たり前だけど、アイドルをみたいジャニヲタしかいなかった。それが悪いってわけじゃないけど、なんか悲しいなぁと思ったんですよね。だから今回、映画の中だけど、ジャニーさんの夢がいっぱい詰まったおもちゃ箱みたいなエンターテイメントを子供たちがみて感動してる姿をみれて本当に胸がいっぱいになってしまった。フィクションだけどさぁ、フィクションだからこそ夢がかなえられるんだよ。

薄暗い少年刑務所と華やかなステージの対比が少年たちの姿にも重なっていく。少年院をでて社会にでて立派な大人になった彼らは、すっかり様変わりしたかつての監獄をみて何を感じるんだろう。人はかわれる。人は救える。そういう強いパワーをハチャメチャに感じ取れる、私はやっぱりこのフィナーレが大好きだなぁ。

 

 

 親切なジョーさんのシーン

この映画に関してはこまけえこたぁいいんだよ!の精神で考えるな!感じろ!と言い聞かせてみてるんだけど、脱獄のときジョーが前にでず皆を先にいかせて最後尾につくシーンでエ~~~~~~!?となってしまう。しかも案の定あっさり捕まる。「たすくだけでも…」という台詞があるから、リーダー格で首謀者だと思われているであろう自分が捕まればたすくが逃げやすくなるだろうと思ってあえて捕まったのかな。死にゆくものよりやっぱこれから生まれてくる命が大切だよな。でも「たすくだけでも…」ってしゃべっちゃってんだよな……。まぁ聞こえてなかったみたいなので結果オーライ!でも扉をあけて先に仲間を通らせる親切なジョーさんをみるたび何してんの!?!?!?って思っちゃうな!みんなお前のためにがんばってんだぞ~~~~~~~~~~!!!!!!

 

概念ヒロム

赤と青が喧嘩して横山さんにボコボコにしめられたときジョーをかばってくれた看守がいるじゃないですか、あれ概念ヒロムですよね。長年奈良監獄に務め、今は資料整理とかをしている老年の看守。かわるがわる入ってくる少年たちを見守る人。「お前らの父親みてぇなもんだ。もうおじいちゃんか!」と笑うシーンとか完全に意識してると思う。

 

 横山くんと戸塚くん

この映画の出演者はみんなジャニーズJrだけど、デビュー組から二人だけ、関ジャニ∞の横山くんとA.B.C-Zの戸塚くんが出演しています。この二人、「少年たち」という舞台作品に深く関わってるんですよね。戸塚くんは新入りブランコ日記少年として後に同じ枠の役を演じる後輩たちにリスペクトされ続けているし、横山さんは(私は詳しく存じ上げないのですが)もともと関西で復活した「少年たち」という作品の脚本演出に関わっていたそうな。そんな二人は記念すべき劇場版で大人キャストとして登場。なんってエモい!エモ配役。ジャニーさんの思い入れを強く感じる配役。横山さん演じる中林はともかく、戸塚くん演じる宮崎なんていなくても全く支障がでない役ですからね。ただのアイテム受け渡し係だもん…。っていうかたぶん元々ない役だったんじゃないかなってくらいいなくてもいい。そこにねじこませていくあたりに思い入れを感じます。宮崎は少年をやさしく見守る人物の役で、見守ってるだけであんまり役にたたなかったりするところがジャニーズ伝説で演じたジャニーさん役に通じる気がする。ジャニーさんの中で今の戸塚くんにさせたい役ってこんな感じなんだなぁと思ったりした。

 

 

は~~まぁこんなもんか…ムビチケがいっぱいあってあと何回かみる予定なのでまた気になったことがあったら書き足します。みればみるほど発見や気づきがあって楽しい、少年たち。